『上海ベイビー』(衛慧 著)

上海ベイビー
『上海ベイビー』(衛慧 著)
 
中国で性描写が過激だというので、発禁処分になってしまった小説。主人公の女性は、著者のままで、その体験の力強さが文体に出ていて、これはすごい小説です。
 
過激な性描写と言っても、日本ではそれほどピンときませんが、当時の中国では問題視され、しかし、この小説も今では「一昔前のもの」といった感じで、今の中国はもっと進化しています。
 
国際都市である上海がよく描かれていて、「上海だなぁ」と思うところもあり、上海らしさが出ていてとてもいいです。
 
主人公はハチャメチャなようで、実は誠実で、正直な女性。
 
発禁処分で彼女に印税が入らなかったことも残念ですし、発禁処分が彼女の精神に大きなダメージを与えたそうですが、中国は発禁処分になっても海賊版で普通に出回っているので読むことができます。だから、空前のベストセラーと言っていいほど読まれたのに、彼女には印税が入らない。
 
とても気の毒ですが、この小説はすばらしいです。
 
中国といえば、古いイメージしか持っていないひとが多いので、現代の中国、そしてそこでリアルに生きる今のひとたちを知るにもいいのではないでしょうか。きっと中国への見方も変わることでしょう。
 
女性として主人公に共感できるひと、こんなオンナ、絶対にイヤ!と共感できないひと、どちらかに分かれると思いますが、わたしはこういう女性にとても共感します。
 
 

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